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法人の民事再生法 - はじめに
破産法改正について
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破産法改正について

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破産法改正について

~ はじめに ~
1.なぜ改正するのか?・・・現行破産法は大正11年に制定されて以降、昭和27年に免責主義をとりいれる程度でしか大幅な改正がされてこなかった。また先立って改正された民事再生法や会社更生法との調和を図る必要が生じている。

2.新破産法の理念・・・基本的な理念は、現行破産法と同じく「債務者財産の公平な分配」と「債務者の再生、再出発」である(新法第1条)。しかしそれに加えて、新破産法では「破産手続きの簡素化、合理化、迅速化」を重視している。

3.改正のポイント・・・上記のように「破産手続きの簡素化、合理化、迅速化」を推進するのが改正の最大の目的であるから、条項の改正、新設のポイントもその点にある。 以下大まかにまとめてみた。

(表1)
(1)破産手続きに関する主要改正点 1.名称
2.管轄特例
3.保全処分の強化
4.債権者集会
5.破産債権の届け出・調査・確定
6.破産財団の管理
7.破産財団の換価
8.配当手続き
(2)破産法の実体面の改正点 9.法律行為に関する倒産手続きの効力
10.各種債権の優先順位
11.否認権
12.相殺権
(3)個人破産者に関する改正 13.自由財産の拡張
14.免責手続きの迅速化
15.免責手続き中の執行禁止
16.免責不許可事由など
17.免責の効力
(4)その他の改正 18.破産犯罪
19.他の倒産手続から破産手続へ

以下、(表1)の項目に準拠しつつ、改正点をまとめたい。

<改正点の詳細>
 注・・・( )で参照条文を示す。現行法、新法と呼んで区別する。

(1) 破産手続きにおける主要改正点

【1】名称・・・これまで使われてきた「破産宣告」という言葉はイメージが悪いので、「破産手続開始決定」と呼称することになった。(新法2条1項、30条)

【2】管轄特例・・・管轄については(現行法105条)を踏襲する形で(新法5条1項)が総則的な役割をしている。しかし破産手続きの合理化の要請から新法は特 例を設け、現行法に比べて管轄の拡大を図っている。そのため、破産手続きの一括処理がしやすくなった。具体的には以下のとおり。

(イ) 親会社とその子会社についての一括処理・・・親会社についての破産事件等(再生事件、更生事件も含む)が取り扱われている地裁に子会社も申し立てができ る。また逆に子会社の系属している地裁に親会社が申し立てることもできる。(新法5条3項)  さらに商法特例法上の大会社の連結子会社、連結親会社も同 様に一括処理できる。(新法5条5項)

(ロ) 法人とその代表についての一括処理・・・(イ)と同様の手段で法人とその法人の代表者についても一括処理ができる。(新法5条6項)

(ハ) 連帯債務者、保証人、夫婦などについての一括処理・・・

  1. 相互に連帯債務者の関係にある個人。
  2. 相互に主たる債務者と保証人の関係にある個人。
  3. 夫婦。 

以上3つのそれぞれの場合において、一人について破産事件が系属したら他のものは、同じ裁判所に申し立てることができる。(新法5条7項)

(ニ) その他・・・破産債権者数が500人を超える場合、1000人を超える場合にそれぞれ管轄の特例が認められている。(新法5条8項、9項)

【3】保全処分・・・債務者財産の公平で適正な分配を実現するために、新法は従来の保全処分に加えて、新しい保全処分を導入した。これにより債務者の財産の散逸が防ぎやすくなった。具体的には以下のとおり。

(イ) 他の手続の中止命令等・・・破産手続開始の申し立てがあった時「仮差押、仮処分、強制執行、担保権の実行による競売などの手続き」で既に債務者の財産に対 してなされたものを利害関係人の申し立てまたは裁判所の職権によって、破産手続開始決定までの間、中止することができる。(新法24条)

(ロ) 包括禁止命令・・・破産手続開始の申し立てがあった場合に上記の個別的な中止命令等では債権者間の公平が保てない時などに、利害関係人の申立てまたは職権で、すべての破産債権者の強制執行などを一括して禁止することができる。(新法25条)

(ハ) 保全管理命令制度・・・法人が債務者の場合において、破産手続き申し立て後、債務者(法人)の財産管理や処分に失当があると認められるときに、利害関係人 の申立てまたは職権で、開始決定まで保全管理人を付ける事ができる。(新法91条)保全管理人には債務者の財産を管理処分する権限があり、債務者である法 人の財産の散逸を防ぐ役割を担う。

(ニ) 否認権のための保全処分・・・破産手続き申立てから、決定までの間に否認権を保全する必要がある時には利害関係人の申立てか職権で仮処分などの必要な保全処分ができる。(新法171条)

(ホ) 役員財産に対する保全制度・・・破産手続き開始決定後、債務者が法人である場合の破産において、当該法人の役員(取締役など)の経営責任に基づく損害賠償請求権を保全するため、その役員の財産に対して保全処分ができる。(新法177条)

【4】債権者集会・・・(現行法176条)では集会は必ず開催しなければならなかった。一方 (新法135条)も破産管財人、債権者委員会、総債権額の10分の1以上にあたる破産債権を有する破産債権者の申立、及び職権で開催しなければならないの を原則としているが、破産債権者の数やその他特別の事情に、開催しないことも可能にした。この改正により、これまで必用的とされていた第一回債権者集会も 開かないことができることになった。例えば債権者数が多すぎたり、少なすぎたりする場合である。さらに監査委員制度も廃止した。
 また新法は債権者集会の招集手続きの緩和も図っている。具体的には以下の通り。

(イ)財産状況報告集会・・・原則として破産手続き開始決定と同時に財産状況報告集会の開催の期日を義務づけた。しかし裁判所は債権者の数などを考慮して期日を決めないことも可能とした。(新法31条1項2号、4項)

(ロ)異時廃止決定の際の意見聴取・・・(新法217条1項)は異時廃止について原則として債権者集会における破産債権者からの意見聴取を裁判所に義務付けている。しかし(新法217条2項)で裁判所が相当と認める時は書面による意見聴取も認めている。

(ハ)破産者の説明義務等・・・(新法40条)は破産者が債権者集会または債権者委員会の請求によって破産に関する説明をしなければならないことを定めて いる。また(新法41条)では開始の決定後、破産者の重要財産開示義務も定めた。重要財産とは不動産、現金、有価証券、預貯金などである。

【5】破産債権の届出、調査、確定・・・合理化と迅速化が図られている。実務的には期間経過後の届出であっても認められるなど、ルーズに運用されていたが、これ からは厳格になる。ちなみに破産債権とは破産手続き開始前の原因に基づく請求権であり(新法2条5項)、具体的内容については(新法97条~110条)に ある。

(イ)破産債権の届出・・・破産債権の届出は「債権届出期間」にしなければならない。 (新法111条)しかし破産債権者に「一般調査期間、期日」を経過して破産債権の届出をなさざるを得ない特別な事情のある時は、その事情がなくなった時か ら1ヶ月以内に限り届出の追完が認められている。(新法112条) ちなみに(新法31条1項1号、3号)で義務づけられている「債権届出期間」と「一般調査期間」の期間や期日は、破産財団で破産手続きの費用を賄えなくな る恐れがある時は定めなくて良い。(新法31条2項)

(ロ)破産債権の調査・・・(新法116条)破産債権の調査は破産管財人が作成した認否書(新法117条)並びに、破産者および破産債権者の異議に基づいてする。

(ハ)破産債権の確定・・・破産債権調査の時に(新法117条)の認否書の内容である破産債権の額やその種類(優先か劣後か)などに管財人及び届出をした破産債権者の異議がない場合に破産債権は確定する。(124条)
逆にどちらかから異議があった場合には破産債権の確定のために裁判所に破産債権査定決定を求めることができる。(新法125条)その査定決定に不服のあるものはさらに異議の訴えを提起できる。(新法126条)

【6】破産財団の管理・・・破産財団の財産の散逸防止をより実効的にするために規制を強化するとともに、管財人の職務権限を強化するなど新たな制度を設けた。(新法153~159条)

(イ) 財産引渡命令・・・破産管財人の申立てにより、裁判所は破産者を審尋して破産財団に属する財産を破産者から管財人に引き渡す決定を裁判所が下すことができる。(新法156条1項)

(ロ) 裁判所への報告・・・管財人は破産手続き開始後すぐに、破産に至った事情などを記した報告書を裁判所に提出しなければならない。(新法157条)

(ハ) 法人の役員の責任等・・・倒産企業の取締役等に対する損害賠償責任の在否やその額を迅速に確定するために損害賠償請求権の査定制度を導入した。(新法177~183条)

(ニ) 破産管財人の職務権限の強化・・・まず自然人だけでなく法人も管財人になることができる。(新法74条2項) また職務執行を確保するために、執行妨害には警察上の援助をもとめることができる。(新法84条)

【7】破産財団の換価・・・新法は担保付財産を簡単に任意売却することができるような制度を整備した。(新法186~192条)

【8】配当手続き・・・新法は配当手続きの迅速化を図っている。

(イ) 小破産制度の廃止

(ロ) 簡易配当手続き・・・東京地裁の小額管財事件を手本として導入した。具体的には最後配当が可能で以下の三つの場合に手続きが簡略化される。(新法204~207条)

  1. 配当金が1000万に満たないと認められるとき
  2. 破産債権者の全員が簡易な方法での配当に異議を述べないとき
  3. その他相当と認められるとき

(ハ)強制和議の廃止

(2) 実体面の改正

【9】法律行為に関する倒産手続きの効力

(イ) 賃貸借契約・・・民法621条の賃借人破産による解約の申し入れ規定の廃止。
  また双務契約で破産手続開始の際に双方未履行の場合に、これまでの現行法では、管財人は解除か履行請求ができた。これは(新法53条)に受け継がれてい る。しかし(新法53条1,2項)は賃借契約の賃貸人破産の場合で、賃借人が賃借権の登記を備えている時には適用しない。ただし(新法56条)さらに借賃 の前払いや借賃債権の処分に関する制限(現行法63条)は削除された。

(ロ) 継続的給付を目的とする双務契約・・・破産者に対して継続的給付義務を負う者は反対債権の給付がないからといって、破産手続き開始後に義務の履行を拒むことはできない。(新法55条)

【10】各種債権の優先順位・・・財団債権などについて

(イ) 租税債権・・・破産債権者保護の見地から、破産手続き開始前の原因に基づく租税等の請求権で、開始当時に期限未到来か納期限から1年以内のもののみを財団債権とし、それ以外の租税債権は優先債権とする。(新法148条1項3号)

(ロ) 労働債権・・・労働者保護の見地から、破産手続き開始前の3ヶ月間の給料債権を財団債権とした。また破産手続き終了前に退職した労働者の退職金請求権も退職前3ヶ月の給料分に関しては財団債権とした。

【11】否認権

(イ) 行使方法・・・否認権の行使は訴えや抗弁に限らず、管財人による否認の請求という方法でもできる。(新法173条1項,174条)また否認の訴えや請求事件は破産裁判所が管轄する。(173条2項)

(ロ) 否認権の内容・・・立証責任の明確化。対価バランスを欠く代物弁済はバランスを欠く部分について否認ができることになった。((新法160条2項)

【12】相殺権・・・相殺禁止の緩和がはかられた。なお相殺禁止の場合については(新法71、72条)にさだめた。また破産管財人が相殺権を有する破産債権者に対して相殺するか否かを催告できるようにした(新法73条)

(3) 個人破産者に関する改正

【13】自由財産の拡張・・・個人破産における自由財産の範囲が拡大され、99万円となった。(新法34条3項1号)

【14】免責手続きの迅速化・・・債務者が免責拒否の意思表示をしていない限り、破産手続開始の申立てをした場合には、同時に免責の申立てがあったものとみなす。(新法248条4項)

また(新法20条2項)で破産手続開始の申立ての時に提出することが義務付けられている債権者一覧表を以って、免責のための債権者名簿の代りにすることができる。(新法248条5項)

【15】免責手続き中の執行禁止・・・現行法では免責手続き中の個別の執行に対して破産者は対抗する手段がなく、破産者の再生の障害になっていた。

そこでこれを改善するため、新法は免責の申立てがあり、かつ破産終結または破産手続き廃止の決定があったときは、破産者の財産に対する強制執行などの個 別執行を禁止することにした。また既に為されている執行や競売に関しては中止する。(新法249条1項) 免責決定が確定した時は中止した手続きの効力は 失われる。(新法249条2項)

【16】免責不許可事由など・・・現行法では過去10年間に免責を受けている場合に免責不許可事由に該当したが、新法はこの期間を7年に短縮し、破産をしやすくし た。(新法252条1項10号)さらに7年以内に免責された経歴があっても、再び破産に至った事情など考慮して免責することもできるとしている。つまり免 責裁量が大幅に広くなった。(新法252条2項)
その他、新設された免責不許可事由としては、 

  1. 破産者が裁判所の調査において説明拒否や虚偽の説明をしたこと。(252条1項8号)
  2. 破産管財人などの職務妨害。(252条1項9号)などがある。

【17】免責の効力・・・現行法と同様に原則として、免責によって配当以外の破産債権の責任を免れる。免責の効力の及ばない請求権については(新法253条)が定めている。

新設のものとしては

  1. 交通事故などの生命身体に関わる不法行為の損害賠償請求権(新法253条1項3号)
  2. 民法親族法の夫婦間の扶助義務、婚姻費用分担義務、子の監護義務などから生じる請求権(253条1項4号)などがある。

(4) その他の改正

【18】破産犯罪・・・新設条項が増え、罰則が厳格化している。(新法269条、271条など)

【19】他の倒産手続きから破産手続きへの移行・・・民事再生などの他の倒産手続きからの移行を容易にしている。EX管轄の受け継ぎなど